Airis
「じゃあこころちゃん」
「なあに?」
「注射、頑張ろっかね」
笑っていた顔が一気に嫌そうな顔になる。
ごめんね、先生もそんな顔をさせたいわけじゃないんだよ。
「……っしょ」
膝にのせたこころちゃんをそのまま抱えて立ち上がった。
「いやー!注射きらーい!」
さっきの笑顔は嘘なんじゃないか、ってくらいの形相で喚き出すこころちゃん。
やっぱ4歳の子を理論で騙そうと思っても無理か。
「岡崎さん、こころちゃん2番にお願いね」
今の間ずっと廊下で待機してくれていた岡崎にパスする。
「はい、しっかり連れて行きます。こころちゃーん、行くよー」
ジタバタするこころちゃんを押さえつけて
検査室へと連れて行く岡崎さん。