Airis
「そ、そんなこと…ないんじゃない?」
そそくさとその場を離れようとする優苗の腕をがしりと掴む。
「座って」
「………」
何も言えずに座る優苗を見て、
さっき置いた鞄から聴診器を引っ張りだした。
「え?なんで?」
「はい、開けて」
とは言っても自分から開けるはずもなく。
結局俺が無理やり開ける。
「吸って…………吐いて…」
素直なのかアホなのか。
誘導されるとその通りにしてしまう優苗。
「ん、喘息は出てないね」
「知ってるもん」
ちょっと得意気になる優苗の頭を小突いて、
「で、何度なの?」