貴女へ
「処でさ、玲実ってあの服装で遊びん来た時から何かと家に帰れてないよね。手荷物ってどの位あったの?」
私の質問を完璧に無視して桐本直樹が言った。
「えと…交通費と通帳とお財布と本とミニパソコン。生徒手帳と音楽プレイヤーもあったはずだけど…あ、あとはハンカチがあった。でも…あのバッグも何処かに行って…」
「そっかぁ。でもね、バッグはちゃんとあるよ。ほら。」
そう言って、桐本直樹はひょいと何かを持ち上げた。よく見ると、私のバッグがあった。
「私のバッグ…っ!」
久しぶりに私物とご対面できた!
「処でさ、なんかメイク用品って一つも持ってないの?」
更にといった感じで問い詰められた。
「普通、中学二年生が化粧道具なんて持ってると思う?てというよりさっき質問した意味は?」
私は、内心飽きれて問い返した。
「いや…あのさ、こういう喫茶店に来るような子って結構持ってるものだからもしかしたらと思って。まぁ、授業態度とか見ているとそういう物は一切持っていなさそうだけど。」
「そう。だったら別に聞かなくても良かったんじゃない?それにこの喫茶に来たのは結実の強制だったんだから…」
「いやいや。確認って大事やねんて。」
いきなり田辺君が突っ込んできた。確かに確認は大事だけど…
「それにアンタの場合、パーティーの時とかメイク必要になってくんねんて。」
「では、午後ならば中学生が出歩いても特に問題は無いので午後に日用品を買いに行きましょう。」
執事長が言った。日用品か。そう言えば普段使っていたのも全部無くなってしまったから買わないと無いのか。
「でも、私何も…」
「…此処、魔王様の家。」
「そう。それに、お嬢様は気にしなくて良いよ。」
「なので、お嬢様はそのままで。」
…そういう物なのか?それとも、『お嬢様』とかいうヤツの特権なのか?
「あ、あのぉっ…その格好では、その、何かと目立つかと…」
そういわれるとそうだけど折角着たのをもう脱いでしまうのもちょっとだけ残念。
私が、「じゃ、もう一回出て行って」と言うよりも前に皆は出て行った。…でも、私が来たのだから私も部屋を出て行った…
そして着たばかりの初めてのドレスを私は脱いだ。そして、今まで着ていたパーカー姿に戻った。
パーカー姿に戻り、皆の前に戻ると「あんなに服があるんだから…」と言った感じでコメントされた。そのためもう一回私は着替えた。一体一日で何回着替えるのやら。
ふぅ、と深呼吸を一つして私はまた皆の前に戻った。
皆は話をしていた。そして、私に気付くなり執事長は話しはじめた。
「お嬢様、本日は近所のあのデパートにて、買い物をしようと思いますのでそのつもりでお願い致します。」
首を縦に振った。
「…田辺と桐本学校休んだけど、大丈夫なの?」
…確かに。佐藤さんの言う通りだ。私は、記憶から消されたから誰かに会ったとしても大丈夫だけど二人の場合は違う。二人は今日、学校を休んでいる。その状態で放課後誰かに会ってしまうと何かと面倒だ。
「その点なら問題無いでしょう。」
執事長が話に入った。執事長は続ける。
「執事服で行けば、家業で来ている。とお思いになる方が多数かと。それにあの広さですと、逆に見つけるのが困難になるかと思われます。」
田辺くんは、それに突っ込む。
「いやいや。あそこの庶民デパートなんて狭いやろ。」
それは大きな間違いです。此処が異常に広いだけです。
そっとツッコミをいれておいた。
それにしてもなぁ。執事服という事はお嬢様で出掛ける…となるとこれまた面倒臭そう。このメンツだし、お嬢様と執事という結実曰く乙女のサイコーシチュエーションなワケだし。と、とにかくこれは阻止しないと。
「…別に良いんじゃない?その、執事服じゃなくても。仕事と言ったワケでもないんだし。」
「いえ。万が一という事がありますので…」
「もうっ。龍二は色々気にしすぎっ。」
龍二…?あ。そういえば、執事長、そんな名前だったような…
「ですが…」
「あ、あの…私はそうしてくれたら嬉しいです。」
頑固だった執事長だけど、「承知致しました。」と言って折れてくれた。
「龍二、そういう事だからよろしくっ。」
「分かりました。」
…なんか執事長って桐本直樹を前にすると一気に弱くなっちゃうんだな…それに龍二、って呼び捨てにしているし…
でも、執事『長』なんだよね…?まぁ、此処らへんの事は私なんかが立ち入らない方がいい区域だから聞かないでおこう。
「それでは、午前中に色々片付けましょう。そして午後に買い物という事でよろしいですね。」
執事長は確認をした。皆は了解の頷きをした。そして皆は私を置いて部屋を出て行った。
「すいません。しばらく待っておいてくださいね。」
執事長は弱く笑った。
「…そういえば。テーブルマナー、良かったですよ。」
思い出したかのようにそっと言うとドアを閉めた。
私は一人になった。
はぁ、と一つ長いため息を吐いた。
これからどうなるんだろう。きっと、この世界と別れ王宮とかいう知らない場所での暮らしになるんだろうなぁ…
「…まぁ、なんとかなるよね…?」
私の質問を完璧に無視して桐本直樹が言った。
「えと…交通費と通帳とお財布と本とミニパソコン。生徒手帳と音楽プレイヤーもあったはずだけど…あ、あとはハンカチがあった。でも…あのバッグも何処かに行って…」
「そっかぁ。でもね、バッグはちゃんとあるよ。ほら。」
そう言って、桐本直樹はひょいと何かを持ち上げた。よく見ると、私のバッグがあった。
「私のバッグ…っ!」
久しぶりに私物とご対面できた!
「処でさ、なんかメイク用品って一つも持ってないの?」
更にといった感じで問い詰められた。
「普通、中学二年生が化粧道具なんて持ってると思う?てというよりさっき質問した意味は?」
私は、内心飽きれて問い返した。
「いや…あのさ、こういう喫茶店に来るような子って結構持ってるものだからもしかしたらと思って。まぁ、授業態度とか見ているとそういう物は一切持っていなさそうだけど。」
「そう。だったら別に聞かなくても良かったんじゃない?それにこの喫茶に来たのは結実の強制だったんだから…」
「いやいや。確認って大事やねんて。」
いきなり田辺君が突っ込んできた。確かに確認は大事だけど…
「それにアンタの場合、パーティーの時とかメイク必要になってくんねんて。」
「では、午後ならば中学生が出歩いても特に問題は無いので午後に日用品を買いに行きましょう。」
執事長が言った。日用品か。そう言えば普段使っていたのも全部無くなってしまったから買わないと無いのか。
「でも、私何も…」
「…此処、魔王様の家。」
「そう。それに、お嬢様は気にしなくて良いよ。」
「なので、お嬢様はそのままで。」
…そういう物なのか?それとも、『お嬢様』とかいうヤツの特権なのか?
「あ、あのぉっ…その格好では、その、何かと目立つかと…」
そういわれるとそうだけど折角着たのをもう脱いでしまうのもちょっとだけ残念。
私が、「じゃ、もう一回出て行って」と言うよりも前に皆は出て行った。…でも、私が来たのだから私も部屋を出て行った…
そして着たばかりの初めてのドレスを私は脱いだ。そして、今まで着ていたパーカー姿に戻った。
パーカー姿に戻り、皆の前に戻ると「あんなに服があるんだから…」と言った感じでコメントされた。そのためもう一回私は着替えた。一体一日で何回着替えるのやら。
ふぅ、と深呼吸を一つして私はまた皆の前に戻った。
皆は話をしていた。そして、私に気付くなり執事長は話しはじめた。
「お嬢様、本日は近所のあのデパートにて、買い物をしようと思いますのでそのつもりでお願い致します。」
首を縦に振った。
「…田辺と桐本学校休んだけど、大丈夫なの?」
…確かに。佐藤さんの言う通りだ。私は、記憶から消されたから誰かに会ったとしても大丈夫だけど二人の場合は違う。二人は今日、学校を休んでいる。その状態で放課後誰かに会ってしまうと何かと面倒だ。
「その点なら問題無いでしょう。」
執事長が話に入った。執事長は続ける。
「執事服で行けば、家業で来ている。とお思いになる方が多数かと。それにあの広さですと、逆に見つけるのが困難になるかと思われます。」
田辺くんは、それに突っ込む。
「いやいや。あそこの庶民デパートなんて狭いやろ。」
それは大きな間違いです。此処が異常に広いだけです。
そっとツッコミをいれておいた。
それにしてもなぁ。執事服という事はお嬢様で出掛ける…となるとこれまた面倒臭そう。このメンツだし、お嬢様と執事という結実曰く乙女のサイコーシチュエーションなワケだし。と、とにかくこれは阻止しないと。
「…別に良いんじゃない?その、執事服じゃなくても。仕事と言ったワケでもないんだし。」
「いえ。万が一という事がありますので…」
「もうっ。龍二は色々気にしすぎっ。」
龍二…?あ。そういえば、執事長、そんな名前だったような…
「ですが…」
「あ、あの…私はそうしてくれたら嬉しいです。」
頑固だった執事長だけど、「承知致しました。」と言って折れてくれた。
「龍二、そういう事だからよろしくっ。」
「分かりました。」
…なんか執事長って桐本直樹を前にすると一気に弱くなっちゃうんだな…それに龍二、って呼び捨てにしているし…
でも、執事『長』なんだよね…?まぁ、此処らへんの事は私なんかが立ち入らない方がいい区域だから聞かないでおこう。
「それでは、午前中に色々片付けましょう。そして午後に買い物という事でよろしいですね。」
執事長は確認をした。皆は了解の頷きをした。そして皆は私を置いて部屋を出て行った。
「すいません。しばらく待っておいてくださいね。」
執事長は弱く笑った。
「…そういえば。テーブルマナー、良かったですよ。」
思い出したかのようにそっと言うとドアを閉めた。
私は一人になった。
はぁ、と一つ長いため息を吐いた。
これからどうなるんだろう。きっと、この世界と別れ王宮とかいう知らない場所での暮らしになるんだろうなぁ…
「…まぁ、なんとかなるよね…?」