汗と涙と楽しさと
あこがれの球場
歓声が聞こえる。勝利ではない。
ーーーーー 俺らは、負けたんだ。
ここまできたのに、あと一歩で、甲子園の決勝までいけるところだったのに。悔しさで涙が浮かぶ。仲間も呆然とその場に立ち尽くし、動けなかった。
それもそのはず。3点リードの最終回で一気に5点取られ逆転負けだったのだから。
負けたことさえ受け入れられないまま、号令がかけられる。相手校の表情を見た途端、「ああ、俺らは負けたんだ」と思った。溢れる涙を堪えながら一列に並ぶ。すると突然一人清々しい顔をした主将の中村が小さく叫んだ。
「絶対泣くんじゃねーぞ!!!んな惨めなことすんじゃねえ!!!俺らはやりきった、それでも負けた。相手を讃え、笑顔で引き上げるんだ!!!!!」