婚約者はホスト!?③~夫婦の絆~
素直になれたら
「なつ… また 圭司さんとそんなことになってるの? 」
お昼休み、一緒にランチを食べていた葵が呆れた顔で言った。
「うん 圭司ね 一度も謝ってくれないんだよ…。ごめん 俺が悪かったって言ってくれたら、私だって あんな意地悪な言い方しなくてすんだんだけどな…。」
「うーん 圭司さんが謝らないのは、ホントにやましいことがないからだよ…。そりゃ そんなに後輩の子に面倒見よくしてたら、なつがヤキモチやく気持ちも分かるけど、なつは奥さんなんだからもっとドンと構えてなきゃ! 今日は 帰ったらちゃんと仲直りしなよ!」
「うん わかった。」
「あれ 素直じゃん。」
「まあね 昨日 圭司に可愛くないって言われたの、結構こたえてるんだよね…。」
昨日 圭司にそう言われてから、私は急に弱気になってしまった。確かに、杉本さんを可愛いがってるのは事実だけど、圭司自身はあくまで先輩として接していただけなのだろう。それを私がいつまでも、ぐじくじといじけていたら私に愛想を尽かしてしまうかもしれない。
杉本さんにだって、すぐに本を返せだなんて私もどうかしていた。
今日は私から謝って、本のことも取り消そう。
もともと 圭司はさっぱりした性格だから、喧嘩しても、たいてい次の日にはケロッとしているし…。
今朝はすれ違いで会えなかったけれど、今日の夜には仲直りできるはず。
今日は圭司の好きなシチューでも作ろうかな
そんなことを考えながら、私は午後の仕事へと戻った。