婚約者はホスト!?③~夫婦の絆~
マンションに帰宅して、早速シチューを作っていると、圭司からラインが入った。
『今日は遅くなる。』
たった一行の事務的な連絡だった。
うーん 残業なのか、飲みに行くのかも分からない。ご飯はどうするのかぐらい書いてくれてもよさそうなものなのに…。
もしかして、昨日 私が浮気してもいいなんて言ったから、早速行動に移しちゃたのだろうか…。
今日は仲直りする気 満々だったのに出鼻を挫かれてしまった。
とりあえず、シチューはいつでも食べれるようにしておくとして…
圭司の帰りを待つしかないか…。
しばらくして、ドアが開く音が聞こえた。
私は、リビングのソファーでウトウトしてしまったようで、時計を見ると11時を少し過ぎたところだった。
「おかえりなさい。随分遅かったね どこ行ってたの? ご飯は?」
私は、リビングに入ってきた圭司に矢継ぎ早に質問した。
「仕事だけど…。ご飯は適当に食べたから。」
疲れているのか、それとも、まだ私に怒っているのか、かなり素っ気ない口調だった。
「ああ それから これ…。」
そういって、圭司がテーブルの上に置いたのは昨日杉本さんに貸した本だった。
「あっ それ…」
「これで、文句ないだろ?」
圭司は、私の言いかけた言葉を遮るように言うと、リビングを出て行ってしまった。