婚約者はホスト!?③~夫婦の絆~

「おかえり 圭司。 今日も遅かったね。」

私は待ち構えていたように、圭司を出迎えた。

「ただいま…。」

圭司は私の顔をチラッと見て、そのまま寝室へと歩き出す。

私も圭司の後について廊下を歩いた。

「ねぇ 圭司…。明日のバーベキューのことなんたけど何時ごろ家を出るの?」

私は、明るい声で聞いてみた。

「まさか バーベキュー行くつもり…?」

ネクタイをほどきながら圭司が言った。

「うん ダメなの?」

「ダメっていうか… こんな俺と気まずい状態で行ったって仕方ないだろ?」

今だ…。
謝るタイミングは。
この際、圭司の気が済むまでちゃんと謝ってしまおう。

「圭司… ごめんね…。杉本さんとのこと疑るような言い方して…。圭司のことちゃんと信じてるから、もう 許して…。」

そう言って、私は圭司の背中にしがみついた。

「わかった。もう いいよ…。でも やっぱり
明日のバーベキューは遠慮して…。」

圭司の言葉に私は顔を上げた。

「どうして…? もう 杉本さんとのこと何も言わないから…。」

「そうじゃなくて…。ほら 杉本に本返してもらう時、なつが俺と杉本のこと怒ってるって言っちゃったから…。気まずいだろ? なつも杉本も。同じ車なのにさ…。」

「同じ車…。」

「俺と杉本 当日の手配任されてて、食材を頼んだ配送業者のとこ寄ってくから、杉本乗っけてくんだよ。なつがいたらやりにくい…。」

そっか…。
もう 明日は行くのやめよう。
もうすでに、杉本さんへのヤキモチが復活してしまった私が行ったって、良いことなんてない気がする。



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