婚約者はホスト!?③~夫婦の絆~
マンションの下に降りると、一台の白い車が止まっていた。
中西さんは、私に気がつくと助手席に乗れと言うように手で合図した。
私が首を横に振って、運転手側のドアに回ると中西さんは窓を開けて顔を出した。
「いいんですか? 会社でもあいつらバーベキューの話で盛り上がってましたよ~。ホントはなつさんだって気になってるんでしょ?」
「あの この際だから言いますけど、もういい加減、私達夫婦の事に首を突っ込むのやめてもらえますか? 凄く迷惑なんですけど…。」
きっぱりと言い放ったつもりだけれど、中西さんには少しも効果がないようで…。
「まあまあ こんな朝っぱらから、そんな大声上げてたら近所迷惑ですよ…? とにかく 車の中で話ませんか…? 」
そう言って、ニコニコと笑っている。
「いえ そんなことしたら近所迷惑どころか へんな噂になりかねないので、遠慮しておきす。それじゃ…。」
そう言って、車から離れようとした瞬間、中西さんが私の手からマンションの鍵を奪い取った
「ちょっと 何するんですか! 返して下さい!」
「車に乗ったら返しますよ。」
ホントもう…この人は。
見かけは爽やかな紳士なのに、中身はまるでジャイアンだ…。
私は仕方なく、助手席のドアを開けた。
中西さんは、助手席に私が乗り込むと、ニヤリと笑って思い切りアクセルを踏み込んだ。