婚約者はホスト!?③~夫婦の絆~
憧れの人

ようやく 車はバーベキュー場へと到着した。

中西さんの車から下りて、私は大きく深呼吸した。
まわりは山々に囲まれて、自然の空気がとても美味しい。

今日は良く晴れていて、絶好のバーベキュー日和なのだけれど…私の心は沈んでいた。

集合時間が近づいたのか、駐車場には続々と車が到着した。

「なつさん ちょっとここで待っていてください。俺 知り合いに挨拶してきますから~。」

「えっ… あ ちょっと…。」

中西さんは若い女の子のグループを見つけると、私を置いてスタスタと行ってしまった。

もう こんな所で私をひとりにしないでほしい…。
圭司にだってちゃんと説明してくれるって言ったのに…。

しかも私は、携帯もお財布も何もない状態だ。
マンションの鍵も、人質だと言われ結局取られたままだ。

それなのに、自分はちゃかり女の子達と盛り上がっている。
もう 怒りを通り越して呆れてしまった。

この様子じゃ、暫く戻っては来ないだろう。
とりあえず、ベンチにでもすわろうと腰を下ろした時、バーベキュー場の方から、杉本さんが小走りでやってくるのが見えた。

どうやら 彼女は何かを取りに車へと戻ってきたようだ。
圭司から預かったキーでドアを開けると、中から上着らしきものを取り出していた。

私はそっと杉本さんに近づいた。


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