婚約者はホスト!?③~夫婦の絆~
えっ…。
何これ…。
「ちょっと あなた達…!」
そう言って、その女性達を追いかけようとした私の腕を杉本さんが掴んだ。
「なつさん! 大丈夫ですから。」
「だって あんなのイジメじゃない! いくらなんでも酷すぎる…。」
「ホントにいいんです!」
杉本さんは、私に心配させまいと必死で笑顔を作る。
無理して笑う杉本さんがなんだか可哀想で、私は思わず彼女の手を握った。
実は私も大学の時、杉本さんのようにイジメを受けたことがあった。
もともと 代議士の娘ということで、こそこそ影口を言われることはあったのだけれど、圭司
と付き合うようになってからは、そんな生優しいものではなくなっていた。
当時 大学で一番人気だった圭司…。
次から次へと女の子達に言い寄られる中、誰とも付き合おうとしなかった彼が、突然、私に告白したのだから無理もない。
そのせいで、私は一躍 時の人となり、その日から心無い嫌がらせが始まった。
さっきの杉本さんのように、すれ違いざまに悪口を言われたこともあったし、掲示板に誹謗中傷の紙を貼られた事もあった。
私は分からなかったけど、ネットでも色々流されていたようだった。
そんな状況を知った圭司は、私を守る為に別れたと嘘をつき、大学内では、一切私に近づくのをやめた。
そのお陰で、なんとか嫌がらせは収まったけれど、あの頃は何度泣いたことか…。