婚約者はホスト!?③~夫婦の絆~
「ねえ 春君…。どういう意味?」
私は春君の顔を見上げながら、震える声で聞いた。
「なっちゃん 言いにくいけどご主人浮気してるよ。」
「えっ なっ 何を言ってるの?」
「この間、駐車場の影で女の子とキスしてるとこを目撃したんだ。その子のこと柚葉って呼んでたかな。彼 僕に見られて すごく動揺していたよ。だから 今日は、なっちゃんのこと連れて来ないと思ってたけどね。悪いことは言わない。そんな男、早く別れたほうがいい。」
「なつ!!」
突然、後ろから大きな声で呼ばれ、振り向けば
血相を変えた圭司がこちらに走ってきていた。
圭司は、はあはあと息を切らせながら私達の所までくると、春君を警戒するように私を自分の背中に隠した。
「圭司…。」
「そんな怖い顔して 僕が彼女と話してたらそんなにいけないんですか? 瀬崎さん。」
春君が苦笑いを浮かべながら言った。
「もう なつに近づかないでもらえますか?」
「なに言ってるの? 春君は幼なじみで…。」
「知ってるよ。では 失礼します。」
圭司はそう言うと、私の手をグイグイ引っ張っりながら歩き出した。
「なっちゃん! さっき僕が言ったこと本当だから…! 」
後ろから春君が叫んだけれど、圭司は何も言わず、人気のない林の方へと進んで行った。
私は何も考えられず、ただ 圭司の背中をぼんやりと見つめながら歩いていた。