婚約者はホスト!?③~夫婦の絆~
「それにしても なっちゃんのご主人って酷い男だよね。でも 大丈夫だよ 僕の知り合いの弁護士に頼んであげるから。なっちゃんは何も心配しなくていいよ。」
「えっ? 弁護士って… 待って 春君! 気持ちはありがたいけど…そんなことしなくて大丈夫だから…。」
春君の言葉に、私は慌てて断った。
いきなり弁護士と言い出したのは、アメリカでの生活が長かったからなのだろうか…。
「でもね ああいう頭の切れる男は浮気なんて絶対に認めないだろうし、旨いこと言って言い逃れるのが落ちだから…ちゃんと手を打っておかないと…。」
「それでも これは私と圭司の問題だから…。」
私がそう言った途端、春君の表情がみるみる強張っていった。
「ごめんなさい…。私の為に言ってくれてるのに…。」
「いや 僕がお節介だったよね。気にしないで。もうすぐ 別荘に着くから。」
春君は笑顔を見せてくれたけど、さっきの顔はちょっと怖かった…。
もしかしたら 春君は気難しいというか、自分の思い通りにいかないと気にいらないタイプなのかもしれない。
昔 あんなに憧れていた人だけれど、結局あの頃は、春君のことをよくわかっていなかったのかもしれない。
「なっちゃん 着いたよ。」
いつの間にか、車は大きな別荘のガレージに止まっていた。