婚約者はホスト!?③~夫婦の絆~

「さっ こっちだよ。」

春君のあとについて、私は別荘の中へと入っていった。

通されたリビングは何十畳もありそうな広さで、2階まで吹き抜けになっていた。

「適当にすわってて。今 コーヒー入れるから…。」

「うん ありがとう。」

私は大きなソファーに腰かけながら、キョロキョロと部屋の中を見渡した。

「昔はよく家族で来てたんだけどね。今は僕が猟をしに来るくらいかな…。」

「春君 猟の免許持ってるの…?」

「ああ アメリカにいた時にね。興味あるならあとで猟銃見せてあげるよ。」

春君はそう言いいなから、入れ立てのコーヒー
を運んでくれた。

「はい なっちゃん。」

「ありがとう。」

春君はニコッと笑って、自分のコーヒーカップを私のそぐそばに置いて腰かけた。

ん…。
なんか 近い…。
こんなに長いソファーなのに、これじゃ恋人同士の距離だ…。

「ねぇ 春君! 茜さんはいつくるの? お子さん連れてくるんでしょ?」

そう…。
なんだか、このまま二人だけじゃ、ものすごく気まずい。

「ごめん なっちゃん さっき メールがあって今日は来れなくなったらしいんだ。」

「えっ… あっ そうなんだ…。」

「でも なっちゃんはゆっくりしていってよ。
ご主人のところなんて帰りたくないだろ?」

まあ そうなんだけど…。
さっきは、イヤリングを見て取り乱しちゃったけど、私は現場を見た訳ではない。

こうやって逃げていても、何の解決にもならないし…。やっぱり 圭司に会って、ちゃんと真相を問いただそう…。

私はコーヒーカップをテーブルに置いて、ソファーから立ち上がった。

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