婚約者はホスト!?③~夫婦の絆~
彼は、オーダーを取りに来た店員さんに自分の分のコーヒーを頼むと、頬杖をつきながら私の顔をマジマジと見てきた。
なんだか ものすごく居心地が悪い。
圭司が遅れるのは分かったから、もう帰ってくれていいのに…。
でも 圭司の会社の人だから、さすがにそんな失礼な事も言えないし。
「あ あの…。中西さん?」
私は彼の視線に耐えかねて声をかけた。
「ああ すみません 思わず見とれちゃって…なつさん 俺のタイプだから。」
「あっ あの…そういうの止めて下さい。」
「照れてるんですか? なつさんのそういう反応、たまらないな。」
ダメだ…。
この人、どんどん馴れ馴れしくなっていく…。
いつのまにか 名前で呼んでるし。
「でも 瀬崎も罪な男だよな…。こんな可愛い奥さんいるのに…。」
「えっ!?」
中西さんの言葉に、私は飲みかけたアイスコーヒーをテーブルに戻した。
「どういう意味ですか…?」
「いやね…これ言っちゃっていいのかな…。俺が言ったって内緒ですよ。」
そう言って、中西さんは人差し指を立てて口に当てた。
「実は、最近 瀬崎についた一年目の女の子がいるんですけど…あいつ その子と出来てるみたいなんですよね~。」
落ち着こう…。
今までの私だったら、動揺して鵜呑みにしてしまうところだけど、今まで散々それで痛い目にあってきた。
いい加減 私も学習しなくては…。
大丈夫!
圭司に限ってそんなことは絶対ない。
私は心の中で、そう自分にいい聞かせた。