婚約者はホスト!?③~夫婦の絆~
「春君 やっぱり 私 圭司とちゃんと話し合ってみる。だから 申し訳ないんだけどあのバーベキュー場まで、私のこと送ってくれる?
圭司もきっと、私のこと探していると思うから…。」
「なっちゃん 気持ちはわかるけど、話し合ったって無駄だと思うよ。あの男は平気で浮気して、平気で嘘もつく…。どうせ 俺のこと信じろとか言って、なっちゃんのこと優しく抱いて
誤魔化すんじゃないかな? それが浮気する男の手口だよ。」
確かにこの間の圭司は、バーベキューには行かないと私に言わせ、ご褒美のように優しく私を抱いた。
『なつ 俺はおまえを裏切ったりしないから』
あの夜 圭司が言った言葉は嘘だった…?
いや そんなことはない。
圭司は一度だって、私を裏切ったことはない。
いつだって 本気で私を愛してくれる。
たかがイヤリングひとつで、私は何を動じているのだろう。
「春君 圭司がキスしてたとこ見たって言ってたけど本当に圭司だったの? 私には圭司がそんなことするとは思えない…。何かの間違いだと思うの…。だから お願い 圭司のところに連れて行って…。」
私の必死の訴えに、春君はため息をついた。
「何を言っても無駄なんだ。分かったよ。
ちゃんと連れてってあげるから安心して。でも その前に、コーヒーくらい飲んでいってよ。ねっ なっちゃん…。」
「うん ありがとう。」
私は再びソファーにかけると、春君が入れてくれたコーヒーに口をつけた。
私は飲んでいるうちに、なぜだか急に眠くなってしまった。
「なっちゃん 安心して 僕があの男のことなんて忘れされてあげるから…。」
意識が薄れていく中、春君がそう呟く声が聞こえた。