婚約者はホスト!?③~夫婦の絆~
危険な男~圭司side~
まさか こんなことになるなんて…。
あれほど警戒していたはずなのに、俺は自分の甘さにほとほと腹が立った。
ほんの10分、俺が目を離した隙に、なつは忽然と姿を消してしまった。
車の中には、見覚えのないイヤリングが運転席の前に置かれていた。
初めは、なつがこれを誤解して、何処かへ行ってしまったのかとも思い、色々な場所をくまなく探したけれど、なつの姿はどこにもなかった。
10分で歩ける距離なんて限られている。
それになつは、携帯も財布も何一つ持っていない。
考えられるのは、ただひとつ…。
西園寺春樹…。
あいつしかいない。
そして 不自然な行動を取っていた中西も、何かしら関わっているはずだ…。
俺は、バーベキュー場で女とイチャついている中西の腕を引っ張り、駐車場へと連れてきた。
「おい 瀬崎 何なんだよ! せっかく 若葉ちゃんたちと盛り上がってたのに…。」
「何なんだよじゃねーよ。おまえ 俺の目誤魔化せると思ってんの? 俺を本気で怒らせる前に全部吐いたほうが身の為だぜ? あ゙?」
俺は中西の胸ぐらを掴み、凄むように言った。
「何のことだよ。あー なっちゃんを無理やり連れてきたことか…? 悪かったよ。ちょっとおまえ達が揉めたら面白いと思ったんだよ。」