婚約者はホスト!?③~夫婦の絆~
「あ ああ。今日のバーべキュー おまえはなつさんを絶対連れて来ないだろうから、迎えに行けって言われたんだ。それで おまえの車のシートにイヤリングを落としておくように言われた…。キーはどうするのかって聞いたら、なつさんのキーケースには車のキーもついてるって言われたからその通りやっただけだよ。あの人 なんでも知ってる感じだったよ…なつさんのこと。今 なつさんはあの人の別荘にいるはずだよ。キーケースを別荘宛てに送るように言われてたから住所も分かる。 瀬崎 本当にすまなかった。」
そう言って、中西は再び頭を下げた。
「中西。ビデオの事だけは約束だから見逃してやるよ。杉本には別の方法で償わせるから。
でも もし なつの身に何かあったときは俺はおまえのこと絶対に許さない。それだけは覚えとけよ。」
俺はそう言い残すと、西園寺春樹の別荘に向かって車を走らせた。
なつ…。
無事でいてくれ…。
俺は祈るような気持ちで、ハルドルを握りしめた。
西園寺春樹…。
なつの幼なじみだという彼に、初めて会ったのは去年の12月のことだった。
俺がちょうと営業先から帰ってきた所を、外車から降りてきた彼に引き止められた。
『初めまして 瀬崎さんですよね? なっちゃんのご主人の。僕はなっちゃんの幼なじみで西園寺といいます。』
そう言って、差し出された名刺には、西園寺コーポレーション 専務 西園寺春樹とかかれていた。