婚約者はホスト!?③~夫婦の絆~

そう言って、彼は一枚の写真を俺に手渡した。

そこには、何かのパーティーでドレスアップしたなつが、彼の隣で照れながら、はにかんでいる姿が映っていた。

確かに、彼の言う通り、この頃のなつは西園寺春樹に恋をしていたのかもしれない。

けれど、こんな昔の話を持ち出して、俺と離婚させようなどと考える彼は、正気とは思えない。

と同時に、彼の得体の知れない異常さには恐怖さえ感じる。

『西園寺さん バーベキューになつは連れてきませんよ。俺があなたになつを会わせる訳ないでしょ? なつもあなたのことなんて、もう 何とも思っていませんから…。それじゃ…。』

そう言って背中を向けた俺に、彼は後ろから呟いた。

『僕は、どんな手を使っても必ずなっちゃんを手に入れますよ。今まで、僕が望んで手に入らなかったものなど、何ひとつありませんでしたからね。』

そして、今 彼の思惑通りに事は進められようとしている。

こんなことになるなら、ちゃんと初めからなつに話しておくべきだった。

俺は、なつが杉本とのことに妬いているのを利用して、バーベキューに来させないように仕向けてしまった。

不自然な俺の言動に、なつは不信感を抱き、そのせいで彼の仕掛けた罠に嵌まってしまった。
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