婚約者はホスト!?③~夫婦の絆~
私は、ロープを外そうと腕を引っ張ってみたけれど、やればやるほど、ぐいぐいと手首に食い込んでいくだけだった。
いったい 何がどうなってこんなことになってしまったのだろう。
なぜ 私は、春君にこんな事をされないといけないのか…。
小さい頃、春君にお嫁さんにしてって頼んだ記憶はあるけれど…。
まさか、そんな小さいな頃の約束を、今更持ち出してくるなんて…普通じゃない。
確かに、私は春君に対して恋心を抱いていたこともあったけれど、それは まだ本当の恋を知らなかった私のちょっとした憧れみたいなものであって…。
決して、付き合った訳でもなく、ましてや 結婚の話を真剣にしたこともない。
そもそも 春君が私を好きだったなんて、今日初めて知ったのだから…。
私は深いため息をつきながら、ふと壁の方に顔を向けた。
えっ…!!
ちょっと 何これ!!
白い壁一面に貼り付けられていたもの…
それは 隠し撮りされた私の写真だった!
ここ2、3ヶ月の間に、出かけた先々で撮られていた様だった。
中には、私が圭司のことを先に車の中で待っていた時の写真や、マンションの駐車場で圭司とキスしていた時の写真まである。
これは、間違いなくストーカーだ。
そして 今 私は監禁されているのだ。
自分の身の置かれた立場に絶望的になる。
圭司 助けて…。
私は心の中で、ひたすら圭司の名を呼んだ。