婚約者はホスト!?③~夫婦の絆~

圭司は、私を庇うように前に立った。

「なっちゃん その男と逃げるつもり?その男のことなんて僕が忘れさせてあげるって言ったよね…。さっきは途中でやめちゃたけど今度はちゃんと抱いてあげるから、さあ こっちにおいで…。」

「おまえ なつに何した…」

圭司が低い声で言うと、春君は愉快そうに笑った。

「そんなの 聞かなくてもわかるでしょ?  途中まで抱いたっていう意味ですよ。おいしかったな なっちゃんの耳…。胸も意外と大きくて…」

「やめろ…」

圭司は、春君を睨めつけながら言った。

私は俯いて、圭司の背中をきゅっと掴んだ。

「やだな 聞きたいって言ったのはあなたでしょ? そんなに怖い顔しても、なっちゃんは二度とあなたのところには帰しませんよ。ああそうだ せっかくだから あなたに書いてもらおうかな…? 離婚届…。なっちゃん そこの引き出しに入ってるから、彼に書いてもらって。ほら 言うこと聞かないと、引き金引くからね。」

私は春君に言われた通り、机の引き出しを開けて、離婚届を圭司に手渡した。

どうしよう…。
春君の目 本気だ。

圭司もそう悟ったのか、大人しく床にかがんで離婚届を書き始めた。

春君はその様子を見て、満足げに笑っている。

「なっちゃんも嬉しいだろ? これでやっと僕と結婚できるんだら…。」

「春君 私は春君のことなんて全然好きじゃないよ。もう こんなことやめてよ…。」

私の言葉を聞いて、春君の目の色が変わった。
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