婚約者はホスト!?③~夫婦の絆~
「書けたけど…。これでいいか確かめろよ。」
そう言って、圭司は自分が書いた遺書を春君に差し出した。
春君はゆっくりと圭司のそばへ近寄ると、圭司から遺書を受け取って、圭司の書いた文章を読み始めた。
その一瞬の隙をついて、圭司は春君の持っている猟銃の口を両手で塞いだ。
「おい! 何をする!」
春君の慌てた声に圭司がフンと笑った。
「これで撃ったら、暴発しておまえも吹っ飛ぶんじゃねーの? どうせ死ぬならお前も道連れにしてやるよ。なつ 今のうちに逃げろ!」
「くそっ! 離せ…!」
必死で春君は圭司の手から猟銃を離そうともがいている。
私は、とっさに部屋にあったガラスの花瓶を春君の頭に振り下ろした。
春君は私の気配に気づいてかわしたけれど、春君が気を取られた隙に、圭司は猟銃を取り上げ春君を肩から投げ飛ばした。
圭司に背負い投げを決められた春君は、ウーとうめき声をあげた。
圭司は春君をうつ伏せにさせ腕をひねり上げた。
「イテテテ…! やめろ!」
「うるせーよ よくも なつに手を出してくれたな。なつを触ったおまえの手なんて俺がへし折ってやるから…。」
そう言って、圭司は容赦なく春君の腕に力を入れた。
私は落ちていた圭司の携帯で警察を呼んでいたけれど、春君の悲鳴に慌てて電話を終わらせた。