婚約者はホスト!?③~夫婦の絆~

『そうか…。ごめんな 気づいてあげられなくて。俺が佐久間たちに言うのは簡単だけど、それじゃ 根本的には解決しないよな…。とりあえず データを消した犯人と噂を広めた奴、俺が必ず突きとめるから、それまで、もう少しだけ我慢できるか? 』

瀬崎さんにそう言われ、私は頷いた。

『よし じゃあ その消されたデータは俺がやる。明日までだろ?』

そう言って、瀬崎さんは会議室にパソコンを持ち込み、なつさんへ電話をかけた。

『あの 瀬崎さん…。今日はなつさんと約束していたんじゃないですか? 悪いです。私ひとりでやりますから。』

私の言葉に、瀬崎さんはフッと笑った。

『大丈夫。俺 早いから。一時間で終わらすよ。』

そして 言葉通り、瀬崎さんはすごいスピードで終わらせた。

『瀬崎さん 本当にありがとうございました。』

深く頭を下げた私に瀬崎さんはこう言った。

『いいよ 明日もデータ入力の方は俺がやってやるから、杉本は、パソコンをこの機会に覚えて資料作成をひとりでもできるようにしてみたら? 俺もついててやるし、なつにパソコンの本も頼んであるから。』

その時の私には瀬崎さんがヒーローに見えた。
頑張ろうなと優しく笑う瀬崎さんに、私は泣きながら頭を下げた。
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