婚約者はホスト!?③~夫婦の絆~
その日も、瀬崎さんは会議室で私の仕事を手伝ってくれた。
『杉本 今日の帰りにこのカメラを営業室に仕掛けておくから。たぶん 俺の予想だと金曜あたりに、おまえのパソコンのデータを消しにくると思う。月曜が提出期限だろ?これ。犯人が分かったら、ちゃんと会社に突き出してやるからな…。』
『はい…。お願いします。』
『あと それから その本なんだけど、急になつの後輩に貸すことなって、返してもらってもいいか? なつもすごく謝ってたから。ごめんな お詫びに、これプレゼントするから…』
そう言って、瀬崎さんは私に新しいパソコンの本を手渡してくれた。
『いいんですか…? すみません。ありがとうございます。』
本当に嬉しかった。
瀬崎さんが私の為に買ってくれたというだけで… きっと最初で最後だと思うけれど…。
『私 この本 一生大事にしますね。』
瀬崎さんは、大袈裟だよと言って笑っていた。
それから、2、3日の間は特にカメラに異常はなく、瀬崎さんが言っていた金曜日を迎えた。
『多分 今日 犯人はこのデータを必ず消しに来るはすだ。明日の朝、バーベキューの前に回収にくるか…。』
『そうですね。あっ そう言えば、なつさんバーベキュー来るんですか?』
私の質問に、瀬崎さんの顔が曇った。
『いや 多分 仕事に…なると思う。』
この時の私は、少しも気づかなかった…。
瀬崎さんがなつさんのストーカーに、悩まされていたことを…。