婚約者はホスト!?③~夫婦の絆~

その日も、瀬崎さんは会議室で私の仕事を手伝ってくれた。

『杉本 今日の帰りにこのカメラを営業室に仕掛けておくから。たぶん 俺の予想だと金曜あたりに、おまえのパソコンのデータを消しにくると思う。月曜が提出期限だろ?これ。犯人が分かったら、ちゃんと会社に突き出してやるからな…。』

『はい…。お願いします。』

『あと それから その本なんだけど、急になつの後輩に貸すことなって、返してもらってもいいか? なつもすごく謝ってたから。ごめんな お詫びに、これプレゼントするから…』

そう言って、瀬崎さんは私に新しいパソコンの本を手渡してくれた。

『いいんですか…? すみません。ありがとうございます。』

本当に嬉しかった。
瀬崎さんが私の為に買ってくれたというだけで… きっと最初で最後だと思うけれど…。

『私 この本 一生大事にしますね。』

瀬崎さんは、大袈裟だよと言って笑っていた。

それから、2、3日の間は特にカメラに異常はなく、瀬崎さんが言っていた金曜日を迎えた。

『多分 今日 犯人はこのデータを必ず消しに来るはすだ。明日の朝、バーベキューの前に回収にくるか…。』

『そうですね。あっ そう言えば、なつさんバーベキュー来るんですか?』

私の質問に、瀬崎さんの顔が曇った。

『いや 多分 仕事に…なると思う。』

この時の私は、少しも気づかなかった…。
瀬崎さんがなつさんのストーカーに、悩まされていたことを…。
< 70 / 110 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop