婚約者はホスト!?③~夫婦の絆~
トイレを済まし、車の助手席のドアを開けると、瀬崎さんはお帰りと言ってシートを戻した。
なんだか 瀬崎さんはとても疲れている様に見えた。
『あの 瀬崎さん すみません…。このところ
私の仕事を朝も夜も手伝わせてしまって…。
いくら 瀬崎さんでも あの量は流石に疲れますよね…。』
『えっ…。ああ そんな事気にしなくていいよ…。杉本のせいじゃないだろ? それに 今日、回収したカメラの映像で犯人も割り出せるはずだしな…。』
『でも なんか 今日の瀬崎さん 疲れているというか… 元気ないというか…。大丈夫ですか?』
私の言葉に、瀬崎さんはえっという顔をした。
『そうか…。うん そんかもな。ちょっと 別件で心配事があってさ…。あっ でも 大丈夫だから。さっ そろそろ 行くぞ。』
そう言って、瀬崎さんは車を走らせた。
それ以上、瀬崎さんは何も話してはくれなかった。
バーベキュー場に着くと、私と瀬崎さんは早速準備に追われた。
今日はバーベキュー場を貸し切ってのイベントだけあって、とにかく規模が大きい。
役員の家族から、取引先のお偉方まで招待しているせいで、私達にとっては仕事のようなものだ。
『すみません 瀬崎さん! 車に上着を取りに行ってもいいですか?』
私の言葉に瀬崎さんは振り向いて、車のキーを私に投げた。
『車 間違えるなよ…。』
いつものように、笑う瀬崎さんを見て少しほっとした。