婚約者はホスト!?③~夫婦の絆~

『あれ…。なつさんどうしたんだろう?』

つい口から漏れてしまった私の独り言を、瀬崎さんが聞き逃さなかった。

『杉本 まさか なつ来てるのか…?』

突然 腕を強い力で掴まれた。

『えっ…? あ あの その…。』

私が答えに困っていると、瀬崎さんは焦った様子で私の肩を掴んできた。

『なあ 杉本 頼むから教えてくれ。なつはここへ来てるのか?』

あまりに真剣な瀬崎さんに、私は観念して頷いた。

『さっき 駐車場の所で会いました。なんか 中西さんの車で来たって言ってましたけど…』

そう言った瞬間、瀬崎さんの顔色がみるみるうちに青ざめていった。

『あ あの 瀬崎さん…?』

私は、動揺する瀬崎さんの顔を覗き込んだ。

『悪い 杉本。俺 ちょっと抜けるから。もし なつを見つけたら、連絡して…。もし 男といたら無理やりにでもいいから引き離して欲しい… 頼むな 杉本。』

そう言って、瀬崎さんはなつさんを探しに行ってしまった。

一体 どうしちゃったのだろう…。
いつも 冷静な瀬崎さんがあんなに取り乱して、きっとただ事ではない…。

いくら 奥さんを溺愛しているからと言って、私に他の男といたら引き離せなんて言うだろうか…。

私は胸騒ぎを感じながらも、瀬崎さんが早くなつさんを見つけられますようにと祈ることくらいしか出来なかった。


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