婚約者はホスト!?③~夫婦の絆~

『瀬崎さん!』

私は彼を追いかけながら、大声で呼び止めた。

瀬崎さんは私の声に気づいて振り返った。

『杉本! おまえ もしかして今の…。』

『はい 全部聞いてました…。』

『そうか…。ごめんな 中西のこと。杉本に断りもなしに、ビデオの映像を勝手に交換条件にしちゃて…。けど 中西にはちゃんと噂を消すことと、杉本の仕事を代わりに引き受けることを約束させたから…。』

『そんなこといいんです! なつさんの方が大事ですから! あの 西園寺さんって一体…』

『ああ なつのストーカー。それも、けっこうヤバ目の…。』

瀬崎さんは、少し声がうわずっていた。

『もし なつが何かされてたら、俺は奴をただじゃすまさない。俺 しばらく会社にも行けなくなるかもしれないけど、後のこと頼むな。』

『瀬崎さん…。』

『悪いけど、急ぐから。』

そう言って、瀬崎さんは去って行った…。

その夜は、なつさんと瀬崎さんの無事をひたすら祈った。

そして 翌日 西園寺グループの御曹司逮捕というニュースが世間を騒がせた。

監禁や婦女暴行未遂、さらには殺人未遂というショッキングな事件に私はショックを受けたけれど…とりあえず、なつさんと瀬崎さんの命が無事と分かってホッとした。

瀬崎さんが、この一週間 ずっと休んでいた訳とは、他でもない なつさんのそばについててあげる為だったのだ。
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