婚約者はホスト!?③~夫婦の絆~
次の日、柚ちゃんはご機嫌だった。
テーブルの上のチーズ盛り合わせに目を輝かせながら、ワインを一口飲んでにこりと笑った。
「なつさん 私 ワインなんて全然わからないんですけど、チーズに合うってことだけは分かりました。」
「そうだね でも 今日はあんまり飲みすぎちゃ駄目だよ…。」
私の言葉に、柚ちゃんが頷いた。
「はい 今日は瀬崎さんにも散々言われましたから。もし 約束破ったら、紹介の話はなしだからって…。」
「はは 圭司も言うね…。」
「ああ そう言えば、なつさん。私 今日 初めて瀬崎さんに商談の席に連れて行ってもらったんですけど…。」
私は、身構えた。
柚ちゃんがこういう感じで話しだす時は、大抵圭司の女性絡みの話が多いのだ。
いつの間にか、柚ちゃんは圭司の事をちくいち報告してくるようになった。
まるで私のスパイのように…。
「うん。どうだった?」
「はい 商談自体はうまくいきそうなんですけど、瀬崎さん 狙われてますよ…向こうの女社長に…。」
「えっ?」
「その女社長、瀬崎さんのことすっかり気に入っちゃって、今度 ワインの美味しいお店に二人だけで行かないかって誘ってましたよ。瀬崎さんも『いいですね 今度ぜひ』なんて言ってましたけど…。」