婚約者はホスト!?③~夫婦の絆~
「そう…。」
私は、諦めたように言った。
きっと 商談がちゃんと成立するまでは、圭司だってむげに断れないはず…。
そのくらい 私にだってわかる。
「いいんですか? その女社長 かなりの美人で色気ムンムンですよ…。ワインなんか一緒に飲んだら、瀬崎さん 誘惑に負けちゃうもしれませんよ!」
興奮した様子で、柚ちゃんが私にけしかける。
「仕方ないよ。圭司もサラリーマンだから…。
でも 大丈夫…。圭司は私に言えないようなことは絶対しないから…。」
「なつさん…。そうですよね。瀬崎さん なつさんのこと、死ぬほど愛してますもんね。私どうかしてました…。」
柚ちゃんは無邪気な顔でそう言うと、運ばれてきた料理に手をつけた。
ううん
本当は私だって嫌なんだよ…柚ちゃん。
圭司が他の女性と一緒にいるだけで嫉妬しちゃうんだから…。
でも そろそろ 私も大人にならないと…
そう思って我慢しているだけなんだよ…。
私は、はーとため息をついて、ワインをゴクゴクと飲んでしまった。
そして、お店を出る頃には、私はすっかりいい感じにできあがってしまった。
お店のの階段を下りながら、ふふふと笑う私を柚ちゃんが心配そうに見つめた。
「なつさん 大丈夫ですか? このあと どうしますか…? もし 帰るんだったら瀬崎さんを呼んだほうが…。」