ヒツジ、狼と恋をする。
「まぁまぁ、そんなに落ち込まないでよ。
面白かったし」
「っんな慰めいらねぇ!!」
のびてきた手を振り払う。
さ、最悪だ…。
恥ずかしすぎる…。
これ絶対墓まで持っていくパターンの黒歴史だ…。
「さ、戻ろっか?
ツツジも心配してるだろうし。
俺のことは気軽に『お義兄さん』とでも呼んでよ未来の義弟くん♡」
「んなっ…!!?」
「うわ、晶くん顔真っ赤~!
冗談だって。
葵でいいよ葵で」
「………っんのクソ野郎…!」
クソ先輩より性格悪いわコイツ…!
「ツツジと正反対で性格悪いっすね葵『先輩』?」
「わーちゃんと先輩扱いしてくれるんだ?
晶くんは性格良いね?純粋で」
ま、まだ引きずんのかよ…!
「あ、そうだ。
1つだけ良いこと教えてあげる。
ツツジね…晶くんのこと、ただの友達だとは思ってないかもしれないよ」
「………え?
それって、どういう―――」
「さぁ?あとは自分で考えてよ。
ほら、戻るよー」
「はぁ!?ちょっ、待てって…!」
俺が何か言う暇もなく、どんどん葵先輩のペースに飲み込まれていく。
ただの友達じゃないって…どっちの意味だ!?
友達以上?友達以下!?
…………ダメだ。
コイツには叶う気がしねぇ…。