ヒツジ、狼と恋をする。
「ま~折角抜けてきたんなら一緒にバーベキューやって行けばいいじゃん~?
私は全然良いけど~」
「……すいません兄が…」
「いいよいいよ~!
人は多い方が楽しいしねぇ」
「やった!
ありがと香代ちゃん!」
香代先輩が優しくて良かったよ…。
「……さっきのサークルの合宿見てたけど、バスケ好きなの?」
「ん?好きだよ?」
「実は俺も高校でバスケやっててさ。
今もちっさいクラブ入ってんだけど」
「えっ!?本当?
ポジションは?」
あれっ、いずみさんと意気投合してる!?
いずみさんもバスケやってるんだ。
同い年だし…共通点多そうだなぁ。
「ツツジちゃん、お肉焼けたよ~。
食べる?」
「あっ、はい!
いただきます!」
「なーモカそっちのタレ取って」
「は~?
見てわからないぃ?
今焼いてるから手離せないんだけど~」
「あっ、はい、晶くん。
このタレでよかった?」
「………サンキュ」
ワイワイと騒ぐみんなを見てて、つい笑顔になる。
「…………ふふっ」
「……あ?
んだよツツジ…楽しそうだな」
「うん!
ありがとう、晶。
晶のおかげだよ」
「はぁ?なにがだよ」
そうだ。
だってもし晶と知り合わなかったら。
香代先輩とだって、いずみさんとだって知り合わなかった訳だし。
晶が私に、この場所をくれたんだ。
「……ううん。
一緒にいてくれて、ありがとう」
「………。
あぁ…俺も、楽しい。
さんきゅ、ツツジ」
晶の笑顔に、きゅっと胸が締め付けられる感じがした。
私…やっぱり。
こうやって笑いかけてくれて。
一緒にいてくれて、優しくて、カッコよくて。
いつの間にか私に幸せをいっぱいくれるような…。
そんな晶のことが、好きなんだ。
葵に言われて初めて気付いたけど。
多分これは…ずっと前から。
私、晶に恋してる。