ヒツジ、狼と恋をする。
ヒツジ、狼の告白。
「ヒツジちゃーん!
それ、こっちこっちー!」
「えっ!?
ごめん!今いくー!」
夏休みが明けて、学校は今賑わっている。
なんたって…待ちに待った文化祭だからね!
夏休み明けの気だるいムードなんて、そんなものもう出してる場合じゃない!
毎日が忙しくて、楽しい。
「あーーもうこんな力仕事なんてやってられるかっての!
ちょっと男子手伝ってよ!」
「こっちも手離せねーんだよ!
なんとかしろ!」
「はぁ!?
ちょっ…マジ無理だって…重っ!!」
「千夏ちゃん、どうしたの?
手伝おうか?」
「あっ、ヒツジちゃん!
良いところに来たね!
ちょっとこれをあっちに運びたいんだけど…重くて。
そっち持ってくれる?
せーので持ち上げるよ!」
「うん!わかった!」
「っ、せーの!!」
ふんっ……ぬぬぬぬ!
なっ…なにこれ重っ!?
二人がかりでもびくともしないよ!
「っはぁ!
だ、ダメか…。
男子は忙しいって言うし、どーしよ…」
千夏ちゃんがため息をつく。
そっか、みんな忙しいもんね…。
……………あ、そうだ。
「千夏ちゃん!
ちょっと待ってて!」
「え?あ、うん?」
千夏ちゃんの返事を聞く前に、私は教室を飛び出した。
今日も…いつもの場所にいるはず!
いつもは走っちゃいけない廊下も、文化祭前は陸上のコートと化す。
私は全力疾走で別校舎に駆け込んだ。