ヒツジ、狼と恋をする。
次の日。
今日は生徒総会で、昨日コピーしたプリントを使う…んだけど。
一束別校舎から持ってくるのを忘れたみたいで、私が駆り出された、というわけ。
つまり、私は今、生徒総会中に、別校舎にいる。
背の順一番前だし、端っ子にいたから、頼みやすかっただけなんだろうけど。
「まるでサボりみたいだなぁ」
思ったことを呟いて、階段を上る。
………昨日、ここで藤崎くんに会ったんだよね。
き、今日はいないよね?
3階に近付くにつれ、段々と不安になる。
ミウ先輩も、たまにしか学校に来ないらしいって言ってたし!
今日は来てないよね?
しかも生徒総会なんて、もし来ていても流石にサボらないよね。
階段から身を乗り出してキョロキョロと廊下を見回すけど、当然そこに藤崎くんはいない。
「よ、良かったぁ…」
「おい。そこ、邪魔」
「ひゃああぁ!!?」
安堵した瞬間の後ろからの不意打ちに、弾かれたように廊下に飛び出す。
不機嫌にも捉えられるような、見事な低音ボイス。
これで女子はあり得ない。