ヒツジ、狼と恋をする。




「いやぁ~。
美しい愛だねぇ」



そんな中でパチパチと拍手をしながら出てきた見慣れた人。



「あっ…葵!!?」



「やっほー、ツツジに晶くん?
ツツジがナンパされてるの見てさ、助けようと思ったんだけど。

いやはや参ったよ。
先を越された挙げ句公開告白まで。

ごちそうさまでした」



「なっ………!!?」



晶が顔を真っ赤にした。



……もちろん私も真っ赤になってるだろう。



「………ちょっとヒツジちゃん~!?
何々、なに今の!?

ちゃーんと説明してもらうよ!?」



「ち、千夏ちゃん!!」



丁度トイレから帰ってきたところで今のを目撃してしまったのであろう千夏ちゃんが、生徒玄関から全力で駆け寄ってきた。



ヤバイ。



これは質問攻めにされる予感…!



「先生こっちです!
こっちで女の子がナンパに………!」



「!!」



誰かが私のために先生を呼んできてくれたんだろう。



そんな声が聞こえた。



それを合図にして、晶が私の腕をつかんだ。



「ツツジ!立て!
逃げるぞ!」



「う、うん!!!」



さっきまで腰が抜けてたのが嘘のように、私はバッと立って走り出した。



ダメ。



あんな雰囲気の場所に長々といれない!!



恥ずかしすぎて死にそう…!!!




< 149 / 155 >

この作品をシェア

pagetop