ヒツジ、狼と恋をする。
「あっ、逃げた!
後でちゃんと聞かせてもらうからねー!」
「ツツジ、晶くん!
お幸せに~!!」
ひゅーひゅー、なんて誰がやったのか、その場は大きく盛り上がってしまった。
不良はただ呆然としていて、周りももうそんなこと忘れたかのような盛り上がりかただ。
とにもかくにも、逃げるしかない。
私たちは全力疾走で校舎に入り、屋上までかけ上がった。
一般公開されてるときは別校舎は立ち入り禁止になってるから。
ここしかいく場所はなかった。
「はあっ…はぁ…!!」
「つ、疲れたぁ~!!」
二人して息をきらし、座り込む。
しばらく無言で息を整えて。
それからふと目があって、なんだかおもしろくなって二人同時に笑い出した。
屋上に、二人の笑い声だけが響く。
「あははっ…ねぇ晶、さっきのなんだったの?
私、晶のものなの?」
「えっ。
あーそれは…その。
何て言うか…」
「ふふ。言葉のあや?」
晶も必死だったんだろうなって。
そう思って言ったけど。
「いや………違う。
俺は……ツツジのことが好きだから。
本当に、そうであればいいと思ってる」
「えっ…………」
おさまっていた頬の熱さが、また戻ってきた。
それは晶も同じみたいで。
二人して、視線をさ迷わせた。