ヒツジ、狼と恋をする。
「……俺は大丈夫…って。
確か遊園地に入る前も言ってた気がするけど…どういう意味だよ」
「どういう…?
そのままの意味…だと思うけど…」
自分でもよくわからない。
曖昧な私に、晶は少し目を細めた。
「だと思うって、おい。
俺は不良だぞ?
お前みたいな人並み外れた恐怖症のやつでなくとも、普通怖がるだろ。
実際ガッコーで俺に関わってくるやつなんざ幼馴染みくらいしかいねぇし。
それがなんで大丈夫なんだよ」
「…………うーん。
何て言うのかな…。
見た目インパクトありすぎて凄い怖くて…でも話してみると優しいし…普通の人よりも拍子抜けした?みたいな…?」
「みたいなってなんだみたいなって。
大体別に優しくねぇよ、俺。
人とか簡単に殴るし、ちょっと前は先公殴って停学食らったからな」
「えぇ!?」
「それにさっきも見たろ?
ナンパしてたやつ殴ったの。
あれ見ても怖くねぇの?」
「えーーーーっとーーー…」
さっき…あぁ、確かに殴ってたなぁ。
バシャン、って、折角買ってきてくれた飲み物放り出して、私を助けてくれて…。
「うん、怖くない」
「なんでだよ!意味わかんねぇ!」
「だって私を助けるためでしょ?
だから怖くない」
「………~~~、あーそうかよ!
もうどうでも良くなった!」
「?なんで怒ってるの?」
「怒ってねぇ!ただ…………」
晶はそこまで言いかけて、口を閉ざす。
視線が外に流され、私も無意識にそれを追って外を見た。