ヒツジ、狼と恋をする。
「わぁ……!
丁度てっぺん!!」
さっきまでいたところや、ムキになって乗ってまわったジェットコースター。
すべてが一望できる、唯一の場所。
いつの間にかもう夕方になっていたようで、空がオレンジ色に染まっていた。
たくさんのアトラクションが、すべて同じ色に見える。
「夕焼け…綺麗だね」
「…………あぁ」
短く返事をした晶の横顔をそっと見ると、夕焼けに照らされたからか赤くなっていて。
心なしかその赤みは、夕焼けのせいだけじゃないようにも感じた。
「……ね、晶」
「あ?」
「さっき言いかけたこと。
ただ……何?」
「あぁもう!!
なんでもねぇよ忘れろ!!」
僅かに目を見開いた晶が少し面白くて、私はもう少し食い下がることにした。
「えーっ。
気になるから教えてよー」
「なんでもねーっつってんだろ」
「絶対なんでもなくないし…」
「なん、でも、ない、の!!」
「ちぇーーっ」
わざとらしく顔を背けた私に、晶はふっと吹き出した。
合わせて、私も吹き出す。
初めて男の子と二人きりで行った遊園地は、少し怖かったけど、恐怖症を忘れるくらいに楽しかった。