ヒツジ、狼と恋をする。
「ヒツジちゃん、これを別校舎の3階、いつもの空き教室に持っていってくれる?」
「はーい、じゃ、いってきます」
「いってらっしゃい~」
ひらひらと手を振る先輩に会釈して、職員室から出る。
「失礼しました」
ただ、両手が塞がってるから手を振り返せないんだけど。
この学校には、別校舎がある。
と言っても昔使ってた旧校舎みたいなもので、今は生徒会の資料が仕舞われていたり、何にも使われていなかったりと重要なものは何もないんだけど。
「ふーんふふ~ん♪」
生徒会の仕事は嫌いじゃない。
別校舎なら人は来ないし、男の子とすれ違う可能性もない。
こんなに嬉しいことはないよね!
るんるんしながら渡り廊下を渡り、別校舎の階段を上って3階へ。
そしていつもの空き教室へ…と、思ったんだけど。
階段を上りきって、教室がある方向を向いた、その瞬間。
右側の開いた窓から、あり得ないものが視界に飛び込んできた。
トン、と何もなかったかのように着地する、金色の髪の毛をした男の子…。
……………男の子!?