ヒツジ、狼と恋をする。
「ひゃあ!!」
「…………………あ?」
思わずビックリして声を出してしまった私に、男の子が気付く。
バサバサっ!と紙束が私の手をすり抜けていった。
「~~~~~っ!!」
続いて、私も尻餅をつく。
………………嫌だ。怖い。
こっちを見ないで。
恐怖で、声すら出ない。
睨み付けるように此方を見ている男の子が、ふとこっちに足を踏み出した。
「っ」
反射的に、後ろに下がる。
「…………………」
男の子は無言で、もう一歩私に近付いた。
私も、声にならない声を出しながらもう一回後ろに下がる。
足が震えて立てないから、座ったまま、じりじりと。
「……………おい、なんで逃げんだよ」
「ひぅっ!!」
低い声に、さらに私は縮こまった。
喉から、変な声が漏れる。
怖い。
怖い。怖い怖い怖い!!