ヒツジ、狼と恋をする。
……………異変は、別校舎から本校舎に移ったあたり…そう、人とすれ違うようになってからすぐに気付いた。
なんかその…私たち、すごく好奇の目にさらされてない…?
すれ違う人の皆が皆、話していた声を止め、歩いていた足を止め、色々に向けられていた視線を全て一点に集める。
もちろん視線の先にいるのは他でもない私たちなわけで。
………なにこれ………?
「ツツジ、生徒会室ってどこだっけか?」
「………………………わっ」
急に立ち止まった晶の背中に、顔から盛大に突っ込む。
周りの態度が気になりすぎて見てなかったし聞いてなかった!!
「おい、ボーッとしてんじゃねーよ。
生徒会室は?」
「あっ、ごめんごめん…。
周りの視線が気になりすぎて…」
こっち、と道を先に行くと、晶もついてくる。
そして必ず、道の真ん中にいた人は端により、私たちが通る道が出来上がる。
「視線?そうか?
俺がこっち来るときなんて、大体こんな感じだが…まあ確かに、今日は余計に静かな気もすんな」
晶が周りを見ると、全員パッと目をそらす。
変なの…。
晶がいつもは学校に来ないから、かな?