ヒツジ、狼と恋をする。




「恋とか、そんなんじゃない…と思います!」



「えぇ?
でも藤崎くん、女の子と話してるの見たことないけどなぁ。
あ、ももっち除いてね」



「ももっち?」



「あぁ、百瀬香代、藤崎くんの幼馴染みのこと。
私とももっち、同じクラスでよく話すの。

最初知らなかったときは、ももっち何者!?って驚いたんだよね~」



「あぁ、香代先輩ですか!
確かに私も驚きましたね。
あの晶が女の子と話してる…!って」



「あれ、ももっちも知ってるの?」



「え?はい、知ってますよ?
最近はよく3人で話してます」



「おぉー!
……あぁ、確かに最近ももっち放課とか教室にいないかも~。
3人でいたんだね、なるほどなるほど」



ふむふむと相槌を打ったミウ先輩はその後すぐにとびきりの笑顔になって、私の頭をぽんと撫でるように叩いた。



「よし、その調子で男性恐怖症克服頑張れ!!」



「あ、はい…」



……なんとなく、別の意味が含まれている気がしたけど。



とりあえず気にしないことにしよう。



「ツツジちゃん、次の授業移動教室?」



「えーと…そうですね」



「じゃあ先もどっていいよ~。
あとはこっちでまとめとくね」



「はーい。お願いします!」



失礼しました~と生徒会室を出ると、またもや私に鋭い視線が突き刺さる感じがする。



そしてそれは、その日が終わるまでずっと続いたのだった。

















< 65 / 155 >

この作品をシェア

pagetop