ヒツジ、狼と恋をする。
「んなに怖がんねーでも別に襲わねーよ」
「えっ……」
恐る恐る、片目だけ開けて、その人を見上げてみる。
金色の、派手な髪の毛。
銀色の十字架をかたどったピアス。
着崩した制服に―――って、やっぱり怖そうなんだけど!!
「~~~~~~~~」
「……はぁ…男を異常に怖がる女子がいる、ってお前のことかよ。
安心しろ、俺はお前に危害を加える気もねーし、今すぐ消えるよ」
その言葉通りに、私とは反対側に歩き出す男の子。
そして、先程入ってきたあの窓からまた出ていった。
…………………って、ちょっと待ってよ。
ここ3階だよ?
飛び降りた!?
えっ、えっ、だ、大丈夫なの…!?
焦りはするものの、覗いてみる勇気などもちろんない。
チラリと横を見ると、多少大雑把に積まれた紙の山。
私が、さっきばらまいたやつだ。
さっきの音…拾ってくれてたんだ。
「…………………」
見た目によらない…って、こういうこと?
いかにも不良、って感じだったけど…いや、あれは確実に不良だよね。
学校にピアスとか、許されてないよ。
まず、髪を染めることすら厳禁だし。
まぁ…助かった、ってことでいいのかな…?