ねぇ、愛してよ…-私に愛を教えて下さい。-
「んじゃさ、めっちゃ可愛くなって彼氏のことフッてやんな。んで、めっちゃ格好いい彼氏作んの。どうよ?」
「うん…うん。そうする。私からフる」
弥和は決心したかのような、少し晴れた顔をしていた。
「あそこが今日お世話になる店」
「えっ…あそこって…」
店から少し離れたところで立ち止まり指さした先。
それは口コミで人気のヘアメイクアーティストがいるところ。
たまたまサイトで知り合った男がそういう仕事をしていて、たまにこうして技術を借りている。
代わりに一晩、相手をする。
お互いに納得しあっているからなんの問題もない。
法律的には悪いことなのだろうが。
「腕は確かだよー」
言って、店の扉を開ける。
「いらっしゃい…なんだモモか」
「どーせモモだよ。
んなことより!
今日はこの子を最高に可愛くして欲しいんだよ」
レジ兼受付のカウンターで笑いながらあたしの名前を呼んだのはここのオーナー、佐久真透(サクマトオル)。