ねぇ、愛してよ…-私に愛を教えて下さい。-




「んじゃさ、めっちゃ可愛くなって彼氏のことフッてやんな。んで、めっちゃ格好いい彼氏作んの。どうよ?」




「うん…うん。そうする。私からフる」




弥和は決心したかのような、少し晴れた顔をしていた。




「あそこが今日お世話になる店」




「えっ…あそこって…」




店から少し離れたところで立ち止まり指さした先。




それは口コミで人気のヘアメイクアーティストがいるところ。




たまたまサイトで知り合った男がそういう仕事をしていて、たまにこうして技術を借りている。




代わりに一晩、相手をする。




お互いに納得しあっているからなんの問題もない。




法律的には悪いことなのだろうが。




「腕は確かだよー」




言って、店の扉を開ける。




「いらっしゃい…なんだモモか」




「どーせモモだよ。
んなことより!
今日はこの子を最高に可愛くして欲しいんだよ」




レジ兼受付のカウンターで笑いながらあたしの名前を呼んだのはここのオーナー、佐久真透(サクマトオル)。




< 16 / 32 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop