ねぇ、愛してよ…-私に愛を教えて下さい。-
「あっ…わ、悪い!」
座らないあたしを訝しんだ隣近所の席の男子たちがあたしの机を見て慌てて辞書を退かした。
あたしと弥和がくる前に授業で使っていたのであろうが、人様の机に自分の使ったものを置くとは…。
「チッ…死にさらせクソ野郎」
椅子にドカッと座りながら男子たちを一瞥して言うと彼らは頬を引くつかせながら目を逸らした。
教師ももうなにも言わなかった。
「え、えーと、じゃあ授業を再開するぞー…」
「次回この続きから授業を始めるから皆忘れないようにな。じゃあお疲れ様」
授業終了の鐘の音が鳴った瞬間そう言って教室をあとにする教師。
授業を受ける気などさらさらなく、一番前の席にも関わらずすぐ机に突っ伏したあたしは鐘が鳴る少し前に目を覚ました。
寝起きは低血圧で不機嫌なので、そんなあたしと目を合わせないようにいつもあらぬ方向を見ながら出ていくあの教師。
「ほんっと根性ねぇ男だな…」
「ももちゃん!」
そう呟いたとき元気な声に呼び掛けられた。
「んあ?」
エビ反りのように背中を反らして後ろを見る。
そこには笑顔の弥和がいた。