ねぇ、愛してよ…-私に愛を教えて下さい。-
「祐也、とか言ったっけ?」
「あぁ?入ってくんなよ」
「黙れ」
低く低く言ったその一言にクラス中が凍りついた。
「恋人とは、お互いに対等であり、お互いを尊敬し、お互いの短所を指摘し、長所を伸ばし合え、尚且つお互いを慈しむものである。
これはある人の教えだ。
一般常識でもあるとあたしは思うけどな。
てめぇにわかるか?
立場に上下がある時点でそれは恋人じゃねぇ、恋愛じゃねぇんだよ。
尽くすのが当たり前?ふざけんじゃねぇぞ。
女は男を喜ばせるための道具じゃない。
尽くしてほしいならまずてめぇが尽くせ。
女はちゃんとそれに応えられるだけの器を持ち合わせてんだよ」
祐也を鋭く睨みつけたままはっきりと通る声で言うと、弥和が目を潤ませながら笑顔を作った。
「ももちゃんっ…ありがとっ…」
そんな弥和の発言で張り詰めた空気が少し和らいだ。
「え、偉そうなこと言ってんじゃねぇよ!」
「ていうかさ、よく皆のいる前でそんな声荒げられるよね。
いやー感心するわー凄い凄い」
そのおかげで言葉を発せたらしい祐也は相変わらずの大声で幼稚なことを言った。
それに対し至極真面目な顔で言うと
「っ…!そ、そんな女こっちから願い下げだっつーの!」
ハッとしたあと、顔を真っ赤にしながらそんな捨て台詞を残して教室を出ていった。