ねぇ、愛してよ…-私に愛を教えて下さい。-
車のドアをバンッと力任せに閉めて階段を上がる。
これで少しはあたしの苛立ちも伝わっただろう。
「あれ、起きてる」
家に入ると同居人がまだ起きていたことに驚き思わず呟く。
鞄をリビングに放り、ドレスを脱ぎながら
「ただいま」
「おかえり」
あたしの言葉に笑いながら返してくれた同居人。
「たかさんがこの時間に起きてるなんて珍しいね」
たかさん。
本名鈴木崇之(スズキタカユキ)。
出会い系で知り合って一緒に住んでる。
元々家を出たくて寮ありの学校に進学して入寮するつもりだったんだけど寮生活が合いそうになくてやめた。
丁度たかさんが一緒に住もうって言ってくれたから。
家族には黙ってる。
言うと色々面倒だから。
「さっき帰ってきたとこだからね」