心ーKokoroー
「…でも殺人は重罪だ」
医者は目を伏せた
「本当に悪いのはわたしです
彼を殺人へと走らせてしまったのは
申し訳ありません…
彼が早く立ち直れるよう
わたしもお手伝いします……」
「ああ
そのことなんですがね」
目の前の刑事がニコッと笑った
「彼のことなら大丈夫ですよ
まぁ今度会いに行ってやってください」
「大丈夫…?
何を根拠に言っているのですか?」
「彼はもう
殺人事件もその他の事件も起こしません
守るべき家族がいますから」
「家族…?
どういう意味ですか?
彼の両親は亡くなっているはずですが…」
「彼と同室になった
同い年の少女がいましてね
付き合っていた恋人を殺害したんですけど
その少女とどうやら気が合うようで
現在付き合っているようですよ」
医者はこぼれていた涙を拭い
溢れんばかりの笑顔を見せた