僕があの子を好きになっても良いですか?







ひたすらとがむしゃらに走って

運良く岩の壁に空いた穴を見つける

だけど逃げ込むうちに雨が酷くなって来た




「…うわー…
雨降らないって言ったじゃないかよー
武田(たけだ)さんの馬鹿ー」




いつも見ている天気予報士さんの名前を言っても

雨が止むわけじゃない

あたしはその場に座りこんだ



運良く今日の服装は

長いズボンで足元は濡れないし

羽織っていたパーカーは濡れてしまったけど

脱げば大丈夫だった



「…どこに行ったんだろうか?」



てかあたしも迷子じゃん

誰か見つけてほしいんだけどなー

虫が良いことかなぁ?





壁に寄りかかって

滝のように降り注ぐ雨を見つめながら

あたしは





“あの日”のことを思い出していた―――









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