僕があの子を好きになっても良いですか?







あれは2年が始まる始業式の日のこと




あたしは間に合うよう余裕を持って家を出た

誰と一緒になるのか

それだけを考えて歩いていた



すると目の前に歩いていたおばあさんが

突然立ち止まった

そしてそのまま崩れ落ちてしまった



あたしは急いでおばあさんの元へ駆け寄って

声をかけた

おばあさんは心臓に病気を持っている人で

その日の朝で薬がなくなってしまったから

病院へ取りに行く予定だったみたい

だからおばあさんの持ち物の中に薬はない

あたしは運悪くスマホを自宅に忘れてしまったから

どうしようと途方に暮れた



周りの人は誰も声をかけてくれなくて

ただおばあさんとあたしをチラッと見て

通り過ぎるだけ

あたしから声をかけても断られる

他人へ救急車を呼ぶようになんて言えなかった





「…大丈夫ですか?」




そこへ現れたのが

白羽くんだった






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