僕があの子を好きになっても良いですか?







「救急車を呼びますね」



手際よく持っていた携帯電話で

救急車を呼んでくれた



そして来るまでの数分間

ずっとおばあさんの傍にいてあげていた




「これ僕のなんです
もし良かったら使ってください」



スッと鞄の中から取り出した錠剤

今日バスの中で見たあの袋にはいっていた




「僕のなんですって言いながらも
実はコレ誰でも飲めるものなんで

緊急の時に使うようになっています」




彼は鞄の中からペットボトルの水も取り出して

おばあさんに飲ませてあげていた



救急車が来る頃には

おばあさんはだいぶ調子が良くなったように見えた




「ありがとねふたり共」



あたしは何も出来なかったのに

おばあさんはあたしにもお礼を言ってくれた

あたしは「お大事に」だけ返した

それが精一杯だった






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