僕があの子を好きになっても良いですか?
「はっ…え……嘘………」
白羽くんは髪の後ろを掻きながら視線を泳がせた
「覚えているかな?
あたしと白羽くんって始業式の日に会ったこと」
「……あっ………」
「…やっぱり覚えてないよねぇ」
「覚えてるよ」
「えっ?」
「覚えているに決まっているじゃないか
忘れたくても…忘れられない出来事だよ」
「あ…そうだったの?」
「あの時かっこつけて倒れたよね…僕
本当に情けないよ…」
「情けなくなんてないよ白羽くんは」
「え?」
あたしは知っている
あの日も今も
「優しいからでしょ?
自分を犠牲に出来るぐらい白羽くんは優しいから
だからあの日おばあさんを助けたんでしょ?」